学生の活動

2024年9月20日

【卒業生インタビュー】模擬国連世界大会の参加を経て『いま感じること』

 本学在学中、模擬国連世界大会に参加した国際関係学科卒業生の岡本季武さんと中村大喜さんに模擬国連参加後の今について、お話を伺いました。
 2024年3月に本学を卒業した岡本さんはロータリー財団より奨学金を授与されてスウェーデンの大学院に、中村さんはイギリスの大学院に進学し、新生活をスタートされています。

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▼国際関係学科2023年度卒業生 岡本季武さんのコメント

なぜ模擬国連に参加しようと思いましたか?

 大学1年の頃から環境問題に関心を持ち始めたのがきっかけで、国際的な問題に興味を持ちました。国連ではそのような議題が扱われていて、詳しくなりたいと思い参加しました。社会に活かせるような英語力を身につけたかったことも理由の1つです。

模擬国連に参加したことで、どのような変化がありましたか?

 国連というと漠然とした大きな組織というイメージでしたが、模擬国連に参加することにより、各機関でそれぞれ役割が分かれていて、できることも違うということを知りました。
 また、国連はそれぞれの国益も追求していく場でもあるというのは新たな発見でした。自分に直接影響しないような問題に、模擬国連参加前まではあまり関心を抱いていませんでしたが、他国の視点を通して考えると、世界中の人々が様々な問題から影響を受けているということが分かりました。
 また、参加前はインターネットで調べるぐらいのレベルでしたが、模擬国連参加後には環境NGOのインターンシップに参加したり、自分から能動的にアクションをしていこうという風に行動面でも大きく変わりました。

どうしてそのような変化が起きたと思いますか。

 模擬国連を通して、今まで自分が漠然と見ていた問題について理解がより深まり、知らなかったことを知る楽しさを経験しました。興味があることを深掘ろうという気持ちや、知的探求心を刺激される機会だったと思います。一緒に参加している学生のモチベーションが高く、皆それぞれ自分のやりたいことを目指して努力しているという姿にも刺激を受けました。

途上国や先進国に対する考え方に変化はありましたか?

 以前は、経済的発展を主軸に途上国と先進国というような、ただ世界が二分割されているという単純な認識でした。模擬国連を経験したあとは、途上国が発展できない理由は、発展を阻害する問題が他国との関係といったもっと深いところにあると考えるようになりました。例えば地球温暖化の話で、先進国がこれまで二酸化炭素や他の温室効果ガスを排出して発展してきたという歴史がある中で、今では温室効果ガスは良くないから排出削減をすべきという風潮があり、途上国の発展にも影響を与えていると思います。地球温暖化の問題は、先進国や途上国に完全に分かれているものではなく、それぞれが密接に結びついているというのが認識の変わったところです。
 環境問題も様々あり、色々な側面からアプローチする必要があります。人々の健康にも地球の環境にも害があります。それぞれが与える影響を理解できたので、考えがすごく深まりました。

?国連に対しての考え方に変化はありましたか?

 以前、国連に対して持っていたイメージは、世界には全ての国々を統治する機関がない中で、国連は世界共通の利益を求めて活動していて、地球規模問題の解決を探る世界政府のような組織だと考えていました。模擬国連を経験後は、国内での問題に対しても、国境をまたいで起こっている問題に対しても、まずはそれぞれ関係国の意識や、各国がどのように問題に取り組むかが地球規模問題解決に大きな役割をもっていると思います。

模擬国連に参加して身についたこと

 英語力は飛躍的に伸びたと思います。それまではあくまでも授業の課題など、しなければならないことをしていただけでしたが、模擬国連ではリサーチのために自発的に英語で書かれた文献を読んだり、英語で文章を書くこともあり、英語を話す機会が何十倍にも増えたことで、英語力も向上しました。

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▼国際関係学科2023年度卒業生 中村大喜さんのコメント▼

模擬国連に参加して変化はありましたか?

 準備期間の大半がリサーチだったので、担当国連機関の仕組みや予算、資金繰りなどを細かく調べました。担当国と担当委員会の仕組みなど、細かい知識が増えたと思います。あと、世界大会では日本以外の国籍を持つ学生と関わるため、国際的な議論の場でのコミュニケーションのとり方を学べました。
 また行動に関しては交渉力です。相手の意見を聞いて抑圧的に接するのではなく、あくまで自分の主張したいことをうまく伝えながら、お互いの妥協点を見つけ、折り合いをつけていく。外交的な行動のとり方を勉強できたと思います。
 模擬国連に参加したあと、周囲からは授業内での態度が大きく変わったと言われることがありました。授業中、英語でディスカッションをしたり、大勢の前で英語で発表したり、教授の質問に英語で答えたりする場面がありますが、模擬国連を経ると自分の英語力に自信がつき、積極的に授業で発言できるようになりました。
 また、批判的な思考が自分の中に染みついたと思います。 何か物事を考える時、自分が出した結論に対して、もう少し改善の余地がないかという考え方を常日頃からする癖がつきました。友人には、とても思慮深くなったと言ってもらえます。あとは、自分が抱えている問題や課題に対して、その根本的な原因を自分の中で突き詰め、それに対する効果的な解決策や政策を考えるようになりました。

世界の紛争や平和に対する考えについては何か変化はありましたか?

 紛争に対して、普段日常で考える機会は少なかったですが、自分が参加した模擬国連の大会で、安全保障理事会の委員会の大使として役割を務めていく中、紛争解決や平和構築において、ジェンダーの視点からどのように女性の意見を取り込んでいくのかが、自分の中では興味を持ったところでした。
 紛争地域で女性も子どもも被害を受けたりする中、全員にとって平和なコミュニティや地域を作っていくには、どのように女性の意見を取り入れていくのか考えるのは、すごく自分の中で大きな刺激になりました。大学院でも研究の対象としていきたいので、国際機構論と紛争分析を学びたいと思ってます。

途上国の開発に対する考え方の変化はありましたか?

 開発系の国連機関を担当することが少なかったので、あまり詳しくはないですが、先進国と途上国の関係性でいくと、支援の仕方というのも自分の中では考え方として大きく変わったと思います。何か問題が途上国で生じている時、資金的援助だけをし続けても、途上国の政府が自力で何かを解決する能力が高まっていくわけではない。必要に応じてスキル面の向上であったり、技術的ノウハウの共有であったり、途上国の問題解決能力を高めるような開発支援をしていくということが重要だということに気付いたのも、自分の中で大きな変化でした。

地球のサステナビリティに対する考え方は何か変化がありましたか?

 模擬国連の授業で交渉練習する中で、途上国と先進国の環境問題は共通だが、誰に責任があるのかという考え方が、自分の中ですごく印象に残りました。 
 地球のサステナビリティを高めていかなければいけないというのは、先進国にとっても途上国にとっても、共通の認識としてあるとは思いますが、それに対し、どのようにアプローチしていくのか、二つのグループでは立場に大きな差異がある。どういう風に各国が納得する形で、それを解決する方法を探っていくべきかを考えることが、自分にとってはすごく刺激を感じました。

最後に

 自分が大学院を志望したきっかけは、模擬国連です。3年生の時点では大学卒業後は就職しようという想いが結構強かったですが、模擬国連を経験して、知的関心が高まり、 日本というフィールドではなく、より国際的な舞台で、国籍や性別に関わらず、様々なバックグラウンドを持つ人々と活躍していきたいという想いがきっかけで、海外の大学院を志望することになりました。
 模擬国連との出会いにはすごく感謝しています。

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※各写真は2022年にホストとして開催した模擬国連世界大会―神戸大会―の参加時のものです。

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